総理にしてはいけない人、二人目。消費増税、反アベノミクス石破茂の総理への野望を阻止せよ!

消費増税、反アベノミクス石破茂の総理への野望を阻止せよ!

東京都議選の前後から妙にマスコミが熱心に取り上げている政治家がいる。石破茂前地方創生担当相である。どうも最近の安倍下ろしとでもいうべき、一部のマスコミが扇動している政治ショーのクライマックスは、この石破政権の誕生であるようだ。これは筆者だけの妄想ではないようで、嘉悦大学教授の高橋洋一氏も最近の論説を読むかぎり、同様の動きを察知しているようである。政治家の野心とそれに乗じる特定のマスコミの動きが連動しているのは、一昔前に比べれば、ネットなどを通じて誰でも見抜きやすくなっている。

東京都議選自民党公認候補の応援演説を行う石破茂前地方創生担当相6月24日、東京都墨田区納冨康撮影

石破氏の経済政策のスタンスは、高橋論説にも言及されているように反アベノミクスに尽きる。アベノミクスは3点から構成されていて、大胆な金融緩和政策、機動的な財政政策、そして成長戦略である。このうちアベノミクスの核心部分が大胆な金融緩和政策にある。政府は日本銀行の人事を国会での議決を通じてコントロールし、この大胆な金融緩和政策、いわゆるリフレ政策デフレを脱却して低インフレ状態で経済を安定化させる政策を実現しようとしてきた。石破氏の反アベノミクスとは、このリフレ政策への批判に他ならない。

例えば、まだ民主党政権の時代に評論家の宇野常寛氏との共著こんな日本をつくりたい2012年の中で、宇野氏のリフレ政策をとっても良いのではないか、という問いに対して、石破氏は即時に否定している。石破氏の理屈では、リフレ政策は二日酔いの朝に迎え酒飲むようなもので、続けていけばハイパーインフレ猛烈なインフレになる可能性があるというものだった。

石破氏の反リフレ政策の議論は、マネーのバラマキを継続すればハイパーインフレになるというもので、これは石破氏の年来の主張でもある。2010年7月のインタビューで、すでに彼は次のように述べている。

みんなの党当時が提出したデフレ脱却法案について

わたしはああいう考え方をとらない。マネーのバラマキは効果的かもしれないが、1年限りで終わるものでなく、2年、3年、4年と続ける必要があり、そのときハイパーインフレにならないという自信がない。麻薬を打つと元気になるが中毒になる前に止めるからいい、という話にならないか。デフレ脱却法案への反対は党としてまとまっている。うまくいくかもしれないが、ギャンブルではないのだから政策として採れない

まずマネーのバラマキとリフレ政策はそもそも同じではない。この点は後で説明するとして、とりあえず石破氏の懸念と異なり、日銀の大胆な金融緩和政策が始まってすでに5年目が経過した。しかし、ハイパーインフレになるどころか、14年の消費増税と世界経済の不安定化によって、いまだに事実上のデフレ状態が続いている。もっともこの点についても、単にデフレ状態のままだからという理由で、アベノミクスは否定されるわけではないことは、先に参照した高橋論説でも触れた就業者数の増加などの各種経済指標の大幅改善をみれば、よほどの悪意を持たない限り、誰もが認めるところだろう。

最近でも石破氏は、消費税を必ず上げることを約束していることが国債の価値を安定化させていることと、またプライマリーバランスの2020年度の黒字化目標を捨てることも変えたら終わりだとマスコミのインタビューに答えている。

要するに、石破氏の反アベノミクス政策とは、大胆な金融緩和政策は危険なので手じまいが必要、財政再建のために消費増税を上げることが最優先、と解読することができるだろう。もしこれらの政策を実行すれば、間違いなく日本経済は再び大停滞に陥るだろう。

6月16日、金融政策決定会合のため日銀本店に入る黒田総裁

代表撮影まずのようにマネーのバラマキを続ければハイパーインフレになる、という理屈だが、これを金融岩石理論という。坂道に巨大な岩があり、それをどかそうとしてもなかなか動かない。だが、一度動きだすと坂道を猛烈な勢いで転げだすというものである。このような金融岩石理論は、実証的には支持されていない。むしろ日本の現状をみれば、日銀がマネタリーベース中央銀行が供給する資金量を拡大してもなかなか物価水準は上昇しない期間が継続していた。

次期の日銀政策委員であるエコノミストの片岡剛士氏は、日本のマネタリーベースの水準と物価水準との相関が低いことを指摘した。これはいわゆる失われた20年で、マネーのバラマキをしてもデフレ脱却に結び付かなかったことを意味する金融緩和政策とハイパーインフレ原田泰他編著アベノミクスは進化する所収。

そのため、片岡氏や先の高橋氏、そして筆者ら日本のリフレ派といわれる政策集団は、一定の物価上昇率の目標を設定し、金融政策を運営するインフレ目標を導入することで、マネーと物価の関係が再構築されることを目指した。つまりインフレ目標のない金融政策だと、いつ金融引き締めが行われるかわからないために、人の予想形成が困難になり、そのためデフレ脱却効果を大幅に下げてしまうことになる。

安倍首相は、12年秋の自民党総裁選からこのインフレ目標の導入を掲げて総裁選に勝利した。そして政権の座に就いてからも日銀にインフレ目標の導入を事実上迫り、そして日銀の人事管理正副総裁選出を通じて導入の実現に成功した。13年のインフレ率の改善は目覚ましかった。これはインフレ目標によってそれまでとは違い、マネタリーベースの水準と物価水準の相関がよみがえりつつある状況になったといえる。ただ残念ながら、それを妨害したのは財政政策の失敗、つまり消費増税である。

ところで仮にマネタリーベースの水準と物価水準の相関がよみがえり、簡単にいうとマネーを増やせば物価もそれに応じて増加する世界になれば、石破氏の主張するようにハイパーインフレになるのだろうか。それはただのトンデモ理論である。

過去のハイパーインフレの経験をみると、物価が急速に上昇するまでに1年以上の時間の遅れがある。つまりその間に金融引き締めを行えばいいのだ。さらに、インフレ目標自体が重要になってくる。アベノミクスで、マネタリーベース水準と物価水準の相関が戻りつつあるのは、インフレ目標の成果だといま解説した。インフレ目標は現状では、対前年比2の物価水準を目指す内容である。2のインフレ目標の導入自体が、ハイパーインフレを起こさない強力な手段になっていることは論理的にもおわかりだろう。

つまり石破氏のリフレハイパーインフレ論はまったくの誤りなのである。むしろ彼がリフレ政策に消極的ないし反対の立場に立てば、日本経済の各種の指標は大きく悪化していくだろう。

2012年9月、安倍晋三総裁選出に伴う自民党新三役共同会見で握手する右から安倍総裁、石破茂幹事長、甘利明政調会長菅義偉幹事長代行ら自民党執行部古厩正樹撮影

さらに問題なのは、石破氏の消費増税主義といえる立場にある。まるで消費増税自体が自己目的化しているようだ。現在のリフレ政策が100ではなく、合格点をなんとかクリアする状況にとどまっているのは、消費増税とその悪影響が続いているからに他ならない。デフレを脱却しないままで、消費増税を実施し財政を緊縮化し、さらにリフレ政策に否定的な消極的金融政策をとるであろう石破政権は日本に再び大停滞を引き起こすだろう。